文法が英語学習の近道か
ネット上の次の記事を読んで倉林さんにメールを出しました。
倉林秀男様
現代ビジネスの“英語をモノにするには「文法を徹底的に」が結局いちばんの近道だった”を面白く読ませてもらいました。
しかし、その記事には多くの誤りがあり指摘させてもらいます。
まず次の英語の使い方に関しての指摘は納得しております。
Transfer is up to the gate level, it is next to the home.
しかし、ルールを守らないのは事実としてもhome をplatformにすれば文法を知らなくても十分に理解ができます。
PEDESTRIANS、BICYCLESのように複数形なければならないのは事実としても、単数表記だから理解されない事はありません。
Remembering that I'll be dead soon is the most important tool I've ever encountered to help me make the big choices in life.
上記の英文のリスニングに関しては文法を知らなくても上記の英語を知っていれば十分に理解できます。
リスニングは記憶にある音と、聞いた音の、音の特徴の照合です。文法に依存したものではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=yDiXQl7grPQ
英語のネイティブが発音したLaureを他の文法を知っているネイティブがYannyと認識しているのです。文法どころかLの音素さえ認識しておりません。
私はビジネス通訳をやっていました、文法適用してリスニングしておりません。
また文法がわかるとスピーキングの幅も広がると言う説明も事実ではありません。私は通訳をして話している時は自分の記憶にある英語を話すのであって、文法と語彙を使い英語を組み立てる時間的な余裕はありません。
そのような多くの記憶が無ければ通訳として話す事も聞く事もできません。
言語は従来、文法を基盤とする事例基盤として考えらえていました。
しかし、2006 年に米国のThe Linguistic Review 誌で特集されから、事例基盤モデルは近年注目を集めています。
言語は多くの事例が集積された事例基盤と考えるのが自然です。人工知能の翻訳も音声認識も事例基盤であり、ルール基盤ではありません。
英語でも日本語でも子供は文法を学ぶ前に正しい表現を使う事ができます。それは子供だからできるのではなく、言語は多くの事例を学ぶだけで正しい表現が使える事例基盤であるからです。
大人には文法を基盤に教えるのは正しい方法でありません。
英語に「は次のような長い歴史があります。
(後期)近代英語 Modern English? 18世紀~今?
初期近代英語時代での、大母音推移が一段落、現代英語のようなスペリングの固定化が確立していた
初期近代英語とは、語彙が違う(はるかに多くなった)。産業革命で、技術用に新語が必要になり、大英帝国(世界面積の四分の一)には植民地から単語が流入
18世紀以降 古い英語は使われなくなり近代英語となった??
18世紀後半 辞書、文法書、スペル書、発音マニュアルなどの出版相次ぐ。標準的な英語に対する高い関心
英国で英語の文法書が最初に編纂がされたのは18世紀です。それは乱れた英語の標準化のためであり、英語のルールとしての文法ではありません。
つまり英語の文法が確立されていない時代のシェークスピアの作品は文法の知識を持っていな人でも理解されております。それ以上にシェークスピアだって現在の英語の文法に準じて英語を書いておりません。文法がなくても良い英語を書けたと言う証拠です。
グーグルの最新の翻訳システムは文法解析ではなく、多くの対訳ファイルを持つ事例基盤のシステムです。グーグルでは文法には例外が多過ぎて翻訳できないと言っています。グーグルが文法は言語の基盤ではないと言っています。
人工知能は脳の仕組みを真似たニューラルネットワークであり、人間の脳も同じような事例基盤の翻訳をしていると理解するのが妥当です。
脳科学者の茂木氏も人工知能のように文法ではなく、ディープラーニングで学べと言っております。
言語が事例地盤のシステムであるなら、その習得も運用も事例基盤でなければなりません。
来年から始まる文科省のアクティブラーニングは主体的・対話的な深い学びを目指すものです。つまり先生が文法のようなルールを教え、生徒が受動的に学ぶものでありませ。
英語のアクティブラーニングとは生徒が主体的・対話的な深い学びをするものです。
“英語をモノにするには「文法を徹底的に」が結局いちばんの近道だった”は何ら根拠のなく、かつ間違った説明です。
上記の記事の中には言語の基本が文法である、そして言語習得は文法を学ぶ方が効果ある、その説明とそのエビデンスは何も存在しません。
根拠ある解答をお待ちしております。
合同会社ディープラーニング
代表社員 桜井恵三
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