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2017年6月11日 (日曜日)

イノベーティブな英語の学び方

2017年1月25日、世界的な教育企業であるピアソンが「ELT Teacher Award」の受賞者を発表しました。この賞は、イノベーティブな英語教育を実践している英語教師に贈られるもので、世界108カ国から集まった、1300名を超える応募者の中から10名の英語教師が選ばれました。

この狭き門に、日本人の英語教師が選ばれていたのをご存知でしょうか? タクトピアにて教育プログラムの開発責任者を務める、嶋津幸樹さんです。

嶋津さんは学生時代に海外進学塾を創業し、高校生の海外大学進学を支援。自身も、英国のロンドン大学に留学し、応用言語学を学びました。現在は、高校生に向けた海外大学進学プログラムの開発を担当し、日本全国の公立・私立学校と提携して、優れた英語教育を広める活動をしています。

起業家であり、教師であり、研究者でもある。そんな嶋津さんが世界的なアワードに選ばれた経緯、実践されているイノベーティブな英語学習法について詳しくお聞きしました。

── 嶋津さんの英語教育にはどんな特徴がありますか?

嶋津さん:世界各国の高校生と比べると、日本の高校生の英語力は圧倒的に足りていません。この状況を改善するために、その中で「ネイティブマインド」と呼ばれる、動画をベースにした英語教育プログラムを開発し、全国の 学校に提供しています。

「ネイティブマインド」は ネイティブが視聴する英語の動画をベースに、知的興味を喚起するテーマを扱った動画コンテンツです。

「探究型の問い」という、海外大学で問われることが多い問いがあるのですが、これはたとえば、「交通渋滞の原因は何でしょう?」といった明確な答えのない問題のことで、自分の意見を表現したり、相手の意見を論破したり、といった力が試される問題です。

答えがないのでひたすら考えることが要求されるのですが、「ネイティブマインド」はこのような探究型の問いにも答えられるようにするコンテンツです。

英語は段階的に勉強しないほうがいい

── 大学レベルの現地授業をいきなり日本人の高校生に理解させるのは難しいように感じます。何かコツはあるのでしょうか?

嶋津さん:動画を100%理解するのが目的なのではありません。つまり、動画は、海外に留学したときの状況を動画で疑似体験するためのものです。

日本の教科書は段階的な学習を前提に作られています。つまり、be動詞を学習したら、一般動詞、その次は現在形、といったように順を追って学習します。でも、実際に留学したらそういう状況とは違い、わからないことがいっぱいという状況になります。動画の学習はあくまで「わからないことがいっぱいある」という状況を体験してもらうためにあります。

── 動画の内容は後から徐々に理解させていく、ということですか?

嶋津さん:はい。それぞれの動画には、Gist questionという「一番重要なポイント」を聞く質問を用意しています。つまり、細かい所を理解していなくても、一番重要なところだけわかればいい、というスタンスです。繰り返し動画を観ていくうちに、ディテール(詳細な部分)がわかるようになります。

例えば、CNNのニュース動画を高校生に理解してもらう場合、初回はまず観てもらいます。その後、2回目を観る前に背景知識と文字情報をすべて与えます。つまり、動画で語られるテーマと同じテーマを日本語で事前にディスカッションして、動画に出てくる単語も事前に教えてしまいます。こうすることで、最初に観たときよりは理解度が上がります。そして、次は字幕付きで、といったように動画をさまざまな変化を付けて繰り返し観ていきます。動画のスクリプト(台本)を見せて、大事な単語も学習させると、理解度は45?55%くらいになります。

このようにして、トータルで7回(最初は何の準備もない状態、プログラム中に3回、プログラム外で3回)観るように指導しています。この方法で、動画をベースに自分で学習するスタイルができていきます。

このあたりのメソッドは僕が修士論文で研究していたテーマでもあるのですが、動画はインプットが多くて、巻き戻しも楽にできる。フリーの動画も多いので学校の先生も使いやすく、英語教育に使うなら最強のツールですね。 小学校から英語教育が必須になる中、動画から学ぶことが今後のトレンドになっていくと思います。

── 今回のTeacher Awardを受賞したきっかけにもなった「白熱イングリッシュキャンプ」はどんなところがイノベーティブなんですか?

嶋津さん:白熱イングリッシュキャンプは世界の名門大学生(ハーバード大学・ロンドン大学・マサチューセッツ工科大学など)と日本の学生が議論を通して交流するプロジェクト型の合宿です。キャンプでは中高の学生が参加しますが、学年で隔てることはしていません。学年は関係なく、能力別に分けています。

これは「学生同士が教え合う教育」を推進するためで、僕自身が経験したことでもあるんですが、教える人が一番学べるんですね。なので、人より早く理解した学生がいれば、その学生が他の学生に教える、といった学生が教え合う仕組みを取り入れています。

そのためには、能力別の編成にすれば、自然に教え合う環境になります。

── 高学年の学生が低学年の学生に教える、というわけでもない?

嶋津さん:いえ、学年は関係ないですね。わかってることがあれば誰かに教えるし、わからないことがあれば誰かに教えてもらう、ということです。

これは教えたことがある人はよく分かると思うんですが、人に教えるプレッシャーとか責任感って何よりも大きいんですね。人に教えて理解してくれなかったらどうしよう、と思うわけです。だから勉強量も、教えるために準備する時間も増えます。「明日これを教えてね」と言うだけでこのプレッシャーを与えられるし、理解力も高めることができます。わかってる学生にとっても良いし、わからない学生にとっても良いという相乗効果が期待できるわけです。

── キャンプという特別な環境を作るところにはどんな意味がありますか?

嶋津さん:決まりきった学校での学習とか、日常から抜け出すという意味で、キャンプという非日常的な環境はとても効果的です。また、キャンプでは英語で議論しないといけない状況を作るようにしています。キャンプのために英語をがんばるというのが、学生のモチベーションにもなっています。

あとは、キャンプには区切りをつけるという目的もあります。英語学習にも波があるので、普段は先ほど話したような動画ベースの英語学習を進めてインプットして、キャンプで頭を切り替えて発散(アウトプット)してもらうというイメージです。

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