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2017年1月15日 (日曜日)

幼児まで早期化が進む日本の英語学習事情

間もなく英語が小学5・6年生を対象に「教科」となる。日本における英語学習熱も、就学前からさらに一段と早期化が進んでいる。幼児期の英語学習が目指すべきものとは何か、そして親はどう関わればよいのかなど、子ども向けの英語教材開発で長年にわたる実績のあるベネッセコーポレーション こどもちゃれんじグローバル本部 グローバル商品開発部 こどもちゃれんじ English課の富永伸絵課長に話を聞いた。

日本でも5・6年生で英語が教科化

 少子高齢化が進む日本では、生産年齢人口が大きく減少しており、付加価値の高い人材、特に海外でチャンスをつかむことができる人材育成が急務になっている。日本企業の海外進出も増加傾向にある中で、小・中学校とも現行の学習指導要領には外国語教育について「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成」とすでに明記されている。さらに2018年度から段階的に、5年生から英語を正式な教科にするとともに、英語を教え始める時期を現行の5年生から3年生に引き下げ、2020年には完全実施する予定だ。有識者会議からは、高学年からの教科化にあたり、従来からの「聞く」「話す」という話し言葉に限定せず、アルファベットの文字や単語を使って「読む」「書く」の4技能をバランスよく位置付ける方針が示されている。

 小学校での英語教育は、非英語圏の諸外国では日本より先行しているところが多く、日本政府が積極的に改革を進めようとしているのは、その危機感が背景にあることは否めない。早期英語教育の有効性に関する科学的な裏付けは未だに不明確だが、現状は、多くの国や地域で英語学習の導入年齢を引き下げる傾向にある。

海外で進む英語教育の低年齢化

 2011年にブリティッシュ・カウンシルが64の国または地域を対象に行った調査によると、小学校における英語教育開始段階は、日本の小学1~3年生にあたる年齢がもっとも多かった。

 ただし、英語教育の公の開始時期と実施されている実際の開始時期とは必ずしも一致せず、一部の国の裕福な地域、多くの場合都市部では、両者に顕著な差が生じている場合があり、英語が必修になる学年よりも最長で3年早く英語を始めるケースもあるという。この格差は、方針の違う小学校を卒業した子ども達が同じ中学に入ってきたときに、移行期の適応の問題を生み出す原因になる。

 さらに英語学習熱は就学前の幼児教育にも広がっており、日本を含む多くの国や地域において、民間の語学学習施設へ通う子どもの割合が高くなっている。

 就学前→小学校→中学校と進む中で、児童・生徒間の習得度のばらつきという不安定な要因を抱えつつ、その連携をいかに強めていくかが、どの国または地域においても目前の最大の課題となっているようだ。

幼児期から英語学習を始めるメリットは?

 バトラー後藤裕子著『英語学習は早いほど良いのか』(岩波新書)によると、「動機づけ」という観点からは「小学校時代から外国語学習を始めた人の方が、それ以降に学習を始めた人より、外国語に対して好印象を持つ傾向があり、学習への動機づけも高くなる傾向がある」という。「コミュニケーションへの意欲」も、「年齢の低い方が高い傾向にある。」

 これは多くの国で同様な報告がなされており、「早期英語教育のかなり有力なメリットだと言えるだろう」としている。

 また、後藤氏は、「外国語環境では、良質のインプットをどれだけ得られたかが習得度を左右する」とし、「学習時間数と学習の質」が重要な要因であると指摘している。つまり、質の良い学習をできるだけたくさん行うことが、外国語の熟達度を高めることにつながると結んでいる。

 外国語学習への動機づけが高く、コミュニケーションの意欲が高い学童期に、子どもが良質のインプット量を自ら増やすために、学校での授業以外にもどんどん英語を聞いたり、読んだりしていけるような環境づくりが大切だ。

 非母語の習得には、接触密度や頻度などの点で、母語の獲得に際して置かれる環境とは大きく異なるため、機会や時間は限られているということを十分に認識した上で、教育の計画を立てる必要がある。

幼児期の英語学習が目指すもの

 英語学習熱の早期化に伴い、年齢に応じた教材へのニーズが高まっている。

 「今の子どもたちが社会に出て働く時代になれば、日本語だけで働ける環境はおそらく少なくなるだろうと思います。彼らとコミュニケーションし、対等に渡り合って行くためには、何を身に付けておく必要があるのか。これが教材開発の出発点です。」(富永氏)

 子どもに早期から英語を学ばせたいと思う保護者は、ネイティブ並みの美しい発音、イントネーションなど、親自身が得難かったものを真の英語力と捉え、それを子どもに期待してしまいがちだ。

 だが富永氏は、幼児期の英語学習の目標はそこではないと言う。

 「幼少期の日本語の成長を見ればわかるように、外国語だけが突出して習得されるということはありません。むしろこの時期に習得できるものは、自分の母語とは違う言葉を使ってでも、言葉が通じない相手と対等にコミュニケーションしようとする『姿勢』です。髪や目、肌の色や言葉も違う相手にびっくりしないこと。そして相手の言うことが『わからないからダメだ』ではなくて、どうにか通じるようにやってみようという気持ち。幼児期の英語教育が目指すべきものは、英語を流暢に話せるようになることではなく、こうした『姿勢』と『好奇心』を身に付けることなのです。」

 ベネッセでは、自社で開発した幼児向けの英語教材の利用者が、中学生、高校生になった段階での追跡調査を行っている。この結果を見ると、「英語が楽しい」「英語が好き」と英語に対して前向きに捉えている子どもが多いそうだ。さらに「英語を使って海外で役立つことをしたい」と、自分なりの将来のビジョンをもてる子が多いという。

 「英語という教科の得点を上げる技術だけでは、勉強は長続きしません。その点、幼少期から英語に触れている子どもたちは、何よりも英語が好きであることがベースになっており、それが学業面でも良い成績に繋がっているケースが多いですね。」(富永氏)

幼児期の英語学習…保護者の関わりとは

 一方で、幼い子どもに英語を学ばせるのは至難の技だ。低年齢になるほど集中力、認知力が発達途上であるため、教材にも相当な工夫が必要となる。

 「私たちが教材づくりで一番大切にしているのは、万国共通の、母語を獲得して行く際のアプローチです。どんな言語であっても、子どもたちが獲得して行く言葉はある程度決まっていると言われています。最初は親とのコミュニケーションや生活に一番身近な食べ物、部屋で目にするあるいは触れるものに関する単語です。そこで、まずは単語と表現を決め、それを使ってその年齢でできる活動を考えます。

 玩具にするときには、想定どおりに子どもたちが遊んでくれない場合もあり、何度もモニターテストをやりながら改善を重ねて作り上げていきます。

 映像を作る際には、コーナーを1~2分ごとに小刻みに区切り、興味が途切れないように、あるいは途中に気が散って離れてもまた戻ってきて楽しめるように工夫をしています。」(富永氏)

 では保護者はどのように関わればよいだろう。

 親に英語への苦手意識があっても大丈夫、と富永氏は励ます。

 「小さな子どもにとって一番楽しい時間は、おうちの方が相手をしてくれる時間です。だからといって無理をして英語を話す必要はありません。ただ、隣に座ってお子さんの反応するようすを見てあげるだけで十分です。子どもが楽しそうにしていたら『そうだね』と認め、一緒に興味をもってあげてください。おうちの方も英語に興味をもっていると子どもが感じられたら、子どもはその瞬間から英語に触れることが楽しくなります。子どもにとって英語が楽しい時間になれば、そこが学びの原点となるのです。」

 就学前までの英語は勉強ではない、と富永氏は言い切る。理屈として学ぶ年齢ではなく、遊びとしてどれくらい楽しく遊び込めるか、遊びの中でいかに吸収するかという視点に立つべきであり、インプットに対する「定着」を求めるような教育指導ではないことを親もしっかりと認識しておくべきだと釘を刺す。楽しくできれば問題ないはずなのに、親の行き過ぎた期待により、教育としてマルかバツかという観点でチェックし始めてしまうと、子どもにとっては遊びではなくなり、「英語嫌い」にさせてしまうからだ。

 子どもは早くも2、3歳時に、親の価値観を受け継ぎ、自身の価値観の基盤とするそうだ。その時期に「英語は楽しい」と思える価値観の基盤を作っておくことが何より大切だ。良質の教材の力を借りれば、子ども達の思いを無理なく後押しすることができるだろう。

進化し続ける幼児向け英語教材

 昨今の共働き世帯の増加により、親子の接触時間は年々短くなる傾向にある。日常の家事に加えて英語も、となると、どうしても親の負担感が増大してしまう。

 「その点も踏まえ、教材は一人で成立する遊びを届けるように心がけています。ただ、おうちの方が離れすぎると今度は子どもが楽しくなくなるので、何かを完成させたらお披露目に行くといった、子どもから働きかける仕組みを作ることで、おうちの方が子どもを認めやすい工夫を施しています。また、スマートフォン向けに映像をアプリで提供したり、外出先や乗り物の待ち時間等でゲーム的に楽しめたりするようなコンパクトな仕掛けも考案し、自宅だけではなく、さまざまな場所で英語に触れる機会を増やすようにもしています。」(富永氏)

 細切れの時間にも良質な英語教材に触れやすい仕組みは、忙しい親子にとってありがたい存在だ。

 さらには「読む」「書く」という技能についても、親の要望が低年齢化しているという。小学校においても、高学年での教科化に際し、4技能をバランスよく学ばせることで小中のスムーズな連携を目指しており、「ひらがなやカタカナとともに、アルファベットも書けるように」と望む親が増加している。ベネッセは、楽しい要素の中に文字を含めた活動を入れ、上の学年に上がったときに関連づけができるような仕組みを用意したいとしている。

 幼児向けの英語教材は今なお、進化し続けている。

 異なる言語を話す人がいる環境を受容できること、その人たちと繋がるための英語って楽しいと思えることーー幼い頃のそんなポジティブな原体験が、将来グローバル社会で生き抜く力につながっていく。大人は「英語!」と気構えず、幼い我が子と「遊ぶ」感覚で一緒に楽しめばいい。

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