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2018年7月19日 (木曜日)

シャドーイングは効果的

シャドーイングの教材に次のような学習者の説明があります。

20日間 徹底シャドーイング!効果は
みなさん、こんにちは、リスニングダメダメな kpinkcat です。久しぶりの更新で少し楽しみです。私のリスニングレベルの現状とシャドーイングをすることでどのような変化があったか書いてみたいと思ってます。

リスニングを伸ばすには一体何をしたらいいのでしょう?こんな悩みを抱えてはいませんか。あたしは思いっきりこの悩みを抱え込み悶々とした日々をすごしました。6月以来総リスニング量は約200時間に上りましたが、細部の聞き取りがうまくできない。

なんとなく聞こえてくる英語が薄膜でコーティングされたようになっていて、直接英語が体に染み渡ってくるような感じがしない。いつまでも異物を体が拒否ってる、そんな状態でした。これを打開するためにはある程度の対策が必要と考え、joさんの過去記事を参考に、徹底シャドーイングをすることを決意しました。
さて、シャドーイングを最も体系的に学べる教材は何でしょうか?おそらくこれが最強でしょう。

究極の英語学習法K/H System (入門編) 
究極の英語学習法K/Hシステム入門編 ワークブック 
究極の英語学習法K/Hシステム―発展編 ロジカル・リスニング

この教材の存在は以前から知っていたのですが(あ、joさん経由ですよ)、最寄の大書店にも置いてなかったものですから中身を確認できずにいました。
先日私の家の割と近いところにかなり大きな書店が新規オープンしまして(←最高に嬉しいです!もう、日本語の教材をAmazonから購入することはないでしょう(笑))、中身を確認することができました。

TOEIC600レベルくらいからこれを読んでリスニングを鍛えれば、上達はかなり加速するかも知れない、と思いました。立ち読みして食い入る事 1時間 、結局買わずして撤退しましたが、そのうちお世話になるかもしれない、と思いつつ心を残してきました。

で、私の場合、本に載っているようなことを書いてもほとんど意味ないし、本に載っている内容というのは確定的要素を強くするため、個人的な感想や感覚はある程度削除されてしまいます。ここは、具体的な奮闘記を綴る場所なので、思いっきり体験談を述べさせていただきます。今回私がシャドーイングに使用した教材はこれです。

TOEFLテスト完成ボキャブラリー2000語
これは、文脈型ボキャビル本でリスニングのCDもついています。1日4つのセクションからなり、それぞれ150wpm程度のスピードで1分くらいの文章から成り立っています。20日完成型ですから合計80セクションからなっています。

まず私がしたのは教材作りです。1セクションごとに覚えるべき単語が読み上げられているので、その部分を音源からカットする作業をしました。DUOの経験があったので作業はそれほどかかりませんでした。(2時間くらい?)

当初の目標は1セクションにつき20回の資」ャドーイングをすることでした。このくらいすれば、だいたい形が身につくと思っていたのです。英語上達完全マップの森沢さんは音読パッケージの初回は30回程度するのが良いと述べられていますが、シャドーイングのみのトレーニングなら集中力は格段にこちらが上だし、なんといっても jo さんが20回だったから。

ただ、シャドーイングを継続していくうちに、ただ20回こなすのではなく、自分になじみやすい型が出来上がってきました。最終形は以下のようになりました。

1.スクリプトを見ないで2回リスニングをする
(聞き取れない場所、意味が分からない場所をチェック)
2.スクリプトを見て音声を聞きながら2回シャドーイングする。
(聞き取れなかった場所をチェック;また、シャドーイングできないことを理解する)
3.スクリプトを完全に理解するまで、文の構文・単語を把握する。
4.3回(スクリプトなし)→1回(スクリプトを見る)
5.以上20回シャドーイングを繰り返して1サイクル完成としました。
これを4サイクル...通常ではありえないくらいの量(1日2時間)を無理やりやりました。(普通は15分~20分位するのが適当のようです)そうすると、どうすればシャドーイングがうまくできるようになるのか体が、目が!口が!耳が 教えてくれます。

シャドーイングがうまくできない理由(私の場合)
・150wpm 程度のスピードに私の口が慣れていない。
・聞き取れていても口が慣れていないから、必然的にスピードにおいていかれる。
・リスニングの際に大きなチャンクで聞き取ろうとする。
・すると、ひとまとまりのチャンクを聞き取れるまで喋るのがとまってしまう傾向がある。
・結果として、150wpm以上の速さで喋らなければいけない部分が出てきてしまいスピードについていけなくなる。
・おまけに大きなチャンクが出現するとそちらの内容解釈に気をとられてしまい、実際にいま読み上げられている文章へのリスニングの意識が薄れてしまう。
・そのときに 3-5 文字程度で構成される単語が立て続けに喋られてしまうと聞き取れない結果となってしまう。

対策としては次のようにすると効果的のようです。

1.リスニングをチャンクで捉えるのはOK! ただし、最小単位で捉えるべき!
例えば、A kpinkcat / who come out of nowhere /wrote to Ms. jo /to ask her for some good advice.とするよりも、
A kpinkcat / who come out of nowhere /wrote /to Ms. jo /to ask her /for some good advice.
というくらい細切れに聞き取る訓練をした方がリスニングはうまくいくようです。ただし、文法的な理解が完全でないと細分化は難しいようです。(そのために文法を学ぶようなものです)

私は錯覚してました。私は返り読みしないでも文章を理解できているんだ、と大間違いです。コテコテに返り読みはしていないでも、チャンク内での返り読みはしていたんです。

つまりですね、ネイティブが理解するように文章を理解してはいなかった完全に前から順に文章を理解してはいなかったのだ!ということを思い知らされました。でなきゃ、150wpmのシャドーイングは難しいですし、300wpmのリーディングなんて出来っこないんです。

2.細切れにすることでシャドーイング時に発声を始めるタイミングが遅すぎるということが少なくなります。 耳の意識は 「実際に発音されている場所から離れない!」、これが重要です。タイムラグが少なくなれば脳への負担は少なくなります。

3.ただ、細分化をすると結局何をいっているのか理解しにくくなるので、常に言葉をイメージで捉えることを必要としてきます。これを怠るとシャドーイングできても意味不明、パーツごとの意味は聞き取れるけれど全体的に何を言っているか分からない、という現象が起きるのでイメージ化も大切です。

4.150wpm程度のネイティブにとってはごくごく当たり前のスピードに口が慣れていないなら、もう練習しかない。これは小脳が覚えてくれるまで辛抱して続ける肉体トレーニングです。 小さいころは「生麦生米生卵」ですら、うまくいえなかったのを思い出しますね。私たちは思っているほど体を自由自在には扱えていないのです。

5.細切れチャンクとタイムラグの少ない発声位置を習得すれば、聞き取れる音が増えてきます。例えていうならば、マラソンランナーがペースメーカーにぴったりとくっついて離れないで走るのをイメージしてもらえればいいと思います。耳だけはぴったりペースメーカーについていく。決して離れてはいけません。耳の意識は常に前へ前へです。けれど一方で解釈はひとかたまりのチャンクで捉えようとしないとうまくいきません。

「耳の意識は常に前、言語解釈は細切れチャンクで」

6.聞き取った内容を頭の中で文字として画像化すると本当に聞き取れているかどうかを判定できると思います。うまく聞き取れていないときは、音を文字に置き換えることは出来ません。いわゆるディクテーショントレーニングと同じです。瞬時に文字化できるときのシャドーイング成功率は極めて高くなります(当たり前ですよね?)

あと、耳の意識と文構造把握のための理解の意識は2分化する必要があるようです。耳は音声への意識でべったり張り付いているのですが、文章の前後関係を考慮して今聞いている内容を正確に捉えられているか、という理解の意識は文章内の単語を前後にサーチしなければいけませんし、前述の内容と整合性があるかどうかも瞬時に判断しなければいけません。

リスニングってば、やっぱり高度な技術
ほんとうにそう実感しました。

結論
シャドーイングは細切れにすべし
チャンク内返り読み禁止。
耳の意識は音声へべったり張り付く。
理解の意識は音声とは別、前後左右へ走り回れ。

意外と耳の意識はべったり張り付くということが出来ないことに驚きました。すぐ文章理解へ足をすくわれてしまいます。
リスニングを苦手にしているみなさま、ぜひ徹底シャドーイングやってください。

次の段階としては、リスニング精度を向上させた上で、同時にリーディングをこなすことでしょうか?こうなったらTOEIC リスニングセクション満点なんてお手のものでしょうね。

大きな間違い
シャドーイングは何を目的にやっているのでしょうか。上記のコメントではリスニングを良くしたいと言っております。

シャドーイングは本来、同時通訳の反発力を鍛える目的のトレーニングです。聞いた音をとりあえず瞬時に返す練習です。

聞いた音を繰り返すだけですから、自分の発音への注意は散漫になります。聞いた音を繰り返すだけですからその音を覚える事もできません。しかも、英語を聞いただけで理解ができない表現をシャドーイングしても何の練習にも、トレーニングにもなりません。

音声認識は記憶にある音と、聞いた音の照合ですから、音を覚える必用があります。忘れないで覚えるためには反復練習が必要です。しかも、聞きながら英語を繰り返すのではなく、聞き終わった英語を繰り返す必要があります。

シャドーイングは単に聞いた音を繰り返すので、英語自体も覚える事ができません。そしてその速度も150wpm程度のネイティブにとってはごくごく当たり前のスピードに慣れるのは非常に大事な事です。

言語の音を覚える必用があるのですが、この場合に音の形、つまりパターンを把握する必要があります。すると音の速度は音に形に非常に影響を与えます。そのような音声を聞き取ろうとするならば、ネイティブが自然に話す速度の音を覚えないと聞き取りはできません。

また話す場合もネイティブの自然な速度が最適化された理想の速さなのです。

2018年7月18日 (水曜日)

日本人が英語を話せない理由

中国での記事では次のように書いています。
英語の学習ブームが続いている中国に比べ、日本では特に英語を必死で勉強しようという人は決して多くはないと中国人には感じられるようです。

日本人が英語を話せない理由は「外国人が日本語を学ぶから、日本人は学ぶ必要性に乏しい」

訪日する中国人の多くは日本語を話すことができず、また、中国語を話せる日本人も決して多くはないため、日本滞在中の中国人は必然的に英語でコミュニケーションを取ろうとする。だが、日本では英語もあまり通じないと感じる中国人は多いようで、「日本は先進国なのに、なぜ日本人は英語が話せないのか」と疑問を感じる人も多いようだ。

中国メディアの快資訊はこのほど、日本では英語を話せない人が多いうえに「日本人が話す英語は発音が不自然で良く分からないことが多い」と伝える一方、日本人が英語を話せないのは「必死で勉強する必要性に乏しいため」なのではないかと考察する記事を掲載した。

記事は、英語の学習ブームが続いている中国に比べ、日本では特に英語を必死で勉強しようという人は決して多くはないと指摘。こうした背景もあるためか、日本人の英語の発音は「笑うに笑えず、泣くに泣けない」ほど聞き取りにくいと主張し、基礎教育でしか英語に触れていないのが日本人の英語が下手な理由なのではないかと考察した。

続けて、外国語の学習者の数はその言葉が話されている国の経済力と大きな関わりがあると指摘し、世界的に英語を学ぶ人が多いのはそれだけ米国経済の影響力が大きいためであると指摘。多くの日本人が英語を話せないのは「英語を必死で勉強する必要性に乏しいため」であるとし、日本経済は世界第3位の規模であり、日本文化の世界への影響力も大きいと強調し、「日本人は英語を必死に勉強し、必死に海外に自分たちを売り込んだり、他国の文化を学んだりする必要性がないのだ」と論じた。

また、海外では日本語を必死で勉強する外国人がいて、こうした外国人とは日本語でコミュニケーションが取れるということも、日本人の英語能力の向上を阻害しているのではないかと主張した。

英語を苦手としている日本人が多いのは、それだけ日本の国際化が進んでいないためという見方もできるだろう。日本で暮らしていると英語が必要となる場面はほとんどない。だが、近年は多くの外国人旅行客が日本を訪れるようになっており、英語が身近な存在になったという日本人が増えているのも間違いない。

大きな間違い
最大の間違いは次の下りです。

“日本人は英語を必死に勉強し、必死に海外に自分たちを売り込んだり、他国の文化を学んだりする必要性がないのだ。”

日本では多くの方がかなり必死になって勉強しております。そして英語を学ぶ必要性も確実にあります。

必用性があり、勉強性しているのに、日本人の英語が上達しないのは英語の学習方法が間違っているからです。

ではなぜ日本では外国語習得の間違いが起きているかと言えば、日本の長い、長い外国語習得の歴史があるからです。

それは漢文です。日本には文字言語がなく、平安時代以前は漢文を使って読み書きをしてきました。

漢文では返り点とか、レ点とか一・二点を使い、日本語風に読んでいました。原文を生かした日本語読みで理解していたのです。

その問題は中国語の構造を日本語のように置き換えていたのです。つまり文法構造を使い、中国語から日本語にしていたのです。

これにより、外国語の学習において文法を基盤として学ぶ癖がつきました。明治になって英語を学ぶ時も初期の教科書には英文に返り点とかレ点とか一、二点を使い、日本語風に訳していました。

これで文の構造を文法的に日本語の置き換える外国語学習が確立してしまいました。

例えば英語の“Thank you.”は日本語の「ありがとう」になります。この場合には英語の全体的な音の流れが日本語の「ありがとう」になります。文法的に構造を置き換える事はできません。

実は英語を日本語にする時はこのように全体的に意味を持つ場合が多く、文法的に文法の置き換えができないのです。

皮肉な事に日本人が外国語の間違った学習を始めたのは中国語を最初に取り入れた時だったのです。

言語は使い方を学ぶ用法基盤ではなく、事例を学ぶ事例基盤なのです。しかし、これらの事実が理解されたのは西暦2000年以降の事です。

2018年7月17日 (火曜日)

英語が「聞き取れない」理由とその最短克服法

安河内哲也氏がNikkei Trendyで次のように説明しております。

子どもたちが、「話せる」をマスターしようとし始めている今、大人たちも負けてはいられません。けれど大人たちには“強み”があります。中学英語をすでに学んでいることです。あとはそれをどう生かすか。そこで今回は実践編。中学英語だけを使って耳を鍛え、口を動かして、英語アレルギーを払拭。「あ、聞けてる」「あ、話せてる」を少しでも早く実感する“コツ”を伝授します。

やり方次第で何歳からでも英語マスターは可能
本題に入る前に、一つ。読者の方のなかには、「この年齢から英語をやり直して、本当に英語が聞けて話せるようになるのかな」と疑問を持っている人がいらっしゃるかと思います。それに関しては、心配ご無用です。
もちろん、50歳からプロ野球選手やプロゴルファーを目指すのが難しいように、同時通訳者や翻訳家になるのは、ハードルが高いかもしれません。また、「字幕なしで映画の会話が全部分かる」というのも、50歳を過ぎて大リーガーになりたい、と思うくらいハードルが高いものです。

けれど、字幕なしであらすじが分かる、辞書なしで外国人と会話ができる、訪日外国人を英語でもてなせる、会議で自分の専門分野の発表ができるくらいのレベルなら、なんとかマスターできます。つまり、プロゴルファーは無理でも、会社のゴルフコンペに出られるくらいの力は何歳からでもつけられるということ。実際、私は40歳を過ぎてから韓国語を学び始めましたが、今では韓国語で会話ができるようになりました。だから、みなさんも大丈夫。

問題は、そのやり方です。
「英語の勉強をやり直そう」とするとき、「さあ、やるぞ!」と気合を入れて、図書館など静かな場所にこもっていませんか。そもそもそれがダメ。口を動かさずに解説を読んでいるだけでは英語は身につきません。ピアノを弾けるようになりたい人が、楽譜の理論を読んで、楽譜の問題集を解いても、ピアノが弾けるようにならないのと同じです。ピアノがうまくなりたいなら、上手な人が弾くピアノを聴いて、鍵盤で指を動かして、何度も何度も繰り返し練習するしかないのはご存じのはず。英語も同じです。

英語は耳と口で覚えるもの。ですから、図書館は英語を勉強するにはあまり向いていない場所。声を出して勉強できるところで勉強しましょう。では、どうするか。まずは聞きましょう。ネイティブの英語を耳で何度も聞きます。次に同じ文章が英文で書かれた本を開き、耳で聞きながら、本の文字を追う。それを何度も繰り返します。
次は本の文字を追いながら、ネイティブの声をまねします。ジェスチャーをつけたりするのもいいですね。感情も込めてみましょう。ピアノの練習と同じように、まず、英語の上手な人=ネイティブの声を浴びるほど聞き、それと同じように声に出して話してみる。これを繰り返します。

“英語耳”を鍛える方法を教えます
「そんなに簡単に聞き取れないし、簡単にまねはできない」と言った人、いましたね。はい、その通りです。なぜなら、そもそも日本語と英語は母音と子音の構造が異なるからです。日本語の母音は5つ、英語は母音だけでも24(諸説あり)もあり、子音も日本語が16に対して英語は24。圧倒的に英語のほうが多いのです。

ということは、日本語では聞いたことも発音したこともない言葉が、英語にはたくさんあるということ。聞いたこともない、話したこともない“音”が耳に入ってきても、すぐに聞き取れるわけがありません。また、すぐにまねできるわけはありません。だから、落胆したり、諦める必要はないんです。

聞き取れないワケには、母音や子音の数が違うということもありますが、ほかにも理由があります。大きく「音声的側面」と「内容的側面」の2つに分けて考えてみましょう。
音声的側面とは、たとえば、pearl(真珠)やring(輪)という単語。カタカナで言えば、パールとリングですが、英語は違います。人の耳は不思議で、自分がパールとカタカナ発音しているかぎり、相手の口から発せられる言葉も「パール」を期待してしまいます。ですから、英語でpearl「パァー(ル)」と発音されても何を意味しているか分からない。知っている単語が聞こえない。これが音声的側面の落とし穴です。

ringもカタカナ英語ではリングですが、英語では最後のグはほとんど聞こえません。それを知らないと、「リング」を期待してしまうので、「ring(リィン(グ))」と言われても認識できないのです。

『アナと雪の女王』の主題歌に出てくるLet it goも日本語だと、「レットイットゴー」とわかち読みしますが、英語だと子音と母音がつながる現象が起きます。あえてカタカナで書けば、「レリィゴー」のようになります。レットイットゴーを期待しているから、レリィゴーと耳に入っても、それがLet it goとは認識できないわけです。Look upも同じ。日本語読みだとルックアップ。英語読みだとルッカップ。

このように、聞き取れない原因の一つは、音声的側面、すなわち単語は知っているけれど、「音」として認識できていないために、耳に入ってくる言葉が理解できない、というもの。これを克服するには、できるだけ多くの回数、英語読みを耳で聞き、さらに自分で発音してみるしかありません。自分で正しく発音できないと聞き取れない、というのが英語のリスニングとスピーキングの鉄則。口に出して言えるようになると、同じ音が耳に入った時に“聞こえてくる”ようになるのです。

もう一つの理由が、内容的側面です。psychiatristは精神分析医のことですが、そもそもこの単語の意味を知らなければ、何百回言われても、どんなにゆっくり発音されても、音の意味は理解できません。

たとえばBeat it.の場合、beatは打ち負かす、itはそれ、と個々の意味は知っていても、beat itが「どけ」という意味だということを知らなければ、全体の内容がつかめません。
音声的側面は、自分で発音できるようになることで解決します。一方、内容的側面は、単語や熟語を覚えることで解決できます。この2つが複合的に起こってくることもありますが、いずれにしてもこの両面を克服することによって、「聞こえない」「聞き取れない」問題を解決し、「正しく発音できる」ようになるのです。

耳を鍛える最強の方法はディクテーション
音声的側面と内容的側面の課題を克服する、もう一つの強力な方法は、ディクテーションです。ディクテーションはこの両方を鍛えられるだけでなく、自分のリスニング力がどれくらいかを確認することもできるので、一石二鳥。

ディクテーションのためには、ネイティブの音声とその内容の英文が書かれた本がセットになったものを入手します。NHKの英会話ラジオ教材や、私が監修した「おもてなし純ジャパENGLISH」(講談社)など、多くのものが発売されているので、気に入ったものを購入してみましょう。

クイズ感覚でディクテーションに挑戦してみよう
最初、本は開いてはいけません。ワンセンテンスずつでもいいので、音声を流し、聞いては止めて、聞いては止めてを繰り返しながら、聞こえた内容を書きとめます。聞く回数は10回でも20回でもかまいません。書きとめられるまで繰り返し聞きます。そして、書きとめたら、その英文と本の英文を照らし合わせます。合っていれば、合格。ネイティブの言葉を聞き取れた、と考えてよいでしょう。

もし間違っていたら、“聞き取れない病”の原因が分かります。主な原因には次の通り。
(1)単語を知らなかった
(2)特定の音が聞き取れなかった
(3)イントネーションが自分の認識と異なっていて分からなかった
上記の中で、クセ者は(2)と(3)です。いずれも音声的側面の問題。なぜこのようなことが起こるのか。それは私たちが学んだ中学英語にも起因します。

学校英語では、toを「トゥ」と習います。Thatも「ザット」、と習いますね。Andは「エンド」と強く発音させられませんでしたか。けれど、会話ではtoはほぼ「タ」に聞こえますし、thatは「ダッ」にしか聞こえません。You and Iは、カタカナにするとユーエンドアイではなく、「ユーエナァイ」が最も近いかもしれません。

前にも述べたように、聞いたことのない“音”だったから、聞き取れなかっただけ。
みなさん、サザンオールスターズの歌を初めて聴いた時、桑田佳祐さんの歌詞を全部理解できましたか。「え、何って歌っているんだろう」と思った人はきっと多いはず。日本語なのに、です。けれど、何度も聴くうちに分かるようになりましたよね。英語も同じです。自分の発音と違う発音の言葉に出合ったために、聞き取れなかっただけなのです。

日本語でも聞き取れない言葉があるのですから、英語が聞きとりにくいのは当然。でも、ディクテーションを繰り返すことによって、自分がどの発音に弱いのか、どの言葉が聞きとりにくいのかが分かってくるため、ぐっと進化の速度が増すはず。ぜひ試してみてください。

大きな間違い
まず言語音が物理的にどのようなものか、そしてその音をどう認識するかが分かっていません。

安河内氏は“日本語の母音は5つ、英語は母音だけでも24(諸説あり)もあり、子音も日本語が16に対して英語は24。圧倒的に英語のほうが多いのです。”と言っています。

音声の時間軸に母音と子音が同格で並んでいる訳でありません。音声学の音素は概念の音であり、物理的な音でありません。

定周波数を持つ母音だけでも24“諸説あり”となっているのは母音でさえ物理音として取り出し、物理的な定義ができないのです。定周波数のない、雑音のような子音を取り出す事はもっと難しい事になります。

音声認識もその音素を照合して聞いているのではありません。言語音は連続的に変化する音のストリームであり、聞いた音と、記憶にある音のストリームの特徴の照合です。

聞き取りができないのは「音」として認識できていないために、耳に入ってくる言葉が理解できないのではありません。

もちろん、聞き取りができない原因には次の要因ではありません。
(1)単語を知らなかった
(2)特定の音が聞き取れなかった
(3)イントネーションが自分の認識と異なっていて分からなかった

ネイティブが話すような音が記憶に存在しないから、聞き取れないのです。その音を聞き取れるようにするためには忘れないように覚える以外にありません。

ディクテーションをしてチェックをするのは単なる時間の無駄です。言語音は文字で表現できない音がたくさんありますから、理解できれば十分です。例えば3人称単数の現在のSがあるとか、名詞の複数単数などどうでも良い事なのです。

2018年7月15日 (日曜日)

AIが英語学習を変える

日経ビジネスオンライで池田和弘氏が“想像を絶する時代の始まり”と言う事で次にような記事を書いています。

今、AI(人工知能)が、文字通りあらゆる分野でとてもホットな話題になっています。しかも、その内容は日々進化しています。いったいAIと英語学習はどのような関係にあるのでしょうか。

これについて考えるには、取りあえずまず一度、google翻訳を試すことをお勧めします。端的にいって、その精度は驚異的です。音声入力でさえ、きちんとした区切りで話していけば、極めて正確に認識して、正確な英訳を返し、(ご丁寧なことに)それを読み上げてくれます。

たとえば、文章の例を挙げると
* (a)最近は地震が多い。⇒
Recently there are many earthquakes.
* (b)あの人は気難しい。⇒
That person is hard to please.
* (c)この会議は無意味に長い。⇒
This meeting is meaninglessly long.
* (d)生産効率を上げるには、私たちはどうすれば良いか。⇒
How can we improve production efficiency?
と言った具合で、語句だと、
* (a)暴風警報⇒
storm warning
* (b)人間関係⇒
human relations(※複数になっている点がポイントです)
* (c)最先端技術⇒
state-of-the-art technology
* (d)以心伝心⇒
tacit understanding
といった具合です。ウェブでも調べ、信頼できるネイティブにも聞いてみましたが、すべて正解でした。

ただ、このすぐ後で検証しますが、思ったような英語に変換してくれないケースもあります。しかし、よく考えて下さい。

私たちは、普段日本語で話すときに正確な言葉、適切な言葉が使えていますか。書くときはどうですか。それに、AIは日進月歩どころか、秒進分歩で、1日24時間、1秒間に1万ページ以上の速度で学習を続けることが出来ます。これだけのインプットを続ければ、精度はみるみるうちに高まっていくでしょう。

「AIに合わせる」ことを学ぶ

そういった点を踏まえて、実践的な話をすると、google翻訳などのAIによる自動翻訳でおかしな英語が返ってこないようにするには、「AIが私たちに合わせる」のではなく、「私たちがAIに合わせる」ことを学ぶ必要があります。たとえば、じつは上の文例の(d)は、初め、「生産効率を上げるにはどうすれば良いか」と読み上げたのですが、google翻訳は「How to improve production efficiency」という英語を返してきました。

つまり、日本語のクセで、私が「私たちは」という主語を省いたため、AIもそれを省いてしまったのです。そこで、今度は「私たちは」をきちっと入れて読み直してみると、AIは惚れ惚れする英文を返してくれたという訳です。

もし本当に、たとえば使われている単語や言い回しがおかしいと思うなら、ウェブや別のアプリで調べれば良いだけのことです。とことんこだわるなら、中級者向けですが、「Longman」や「Oxford Dictionary of English」(地上最強の辞書)などの英英辞典を見るのもひとつの手です。この辺りは、今の時代、スマートフォン一つでどうとでもなります。

大きな間違い
脳科学者の茂木健一郎氏はAIが英語学習を変える事はないと言っています。翻訳でも次のように書いています。

“もちろん、英語だけではない。日本語も他の言語も、進化し続けている。
言葉は、生きている。常に、変化し続けている。そして最も大切なことは、言葉を使っているのは「人間」だということだ。

英語も、日本語も、常に変化している
社会の中に人間がいて、お互いに言葉をやりとりしている。1つの表現が流行し、注目を集める。やがて、誰かが少し違った意味でその言葉を使うようになる。ある種の表現は消えていくし、別のものは残る。

イケている表現が、皆が使うようになるとダサくなったりする。ニューヨークの出版社の人のように、世間で流行っている言葉を少し違った意味で使うことで、センスのよさが伝わることもある。

このような言葉の性質を考えると、言語処理が人工知能ですべて置き換わる日は来ないだろうし、またそのようなことを考えても意味がないことがわかる。

例えば、将来、日本語と英語が人工知能によってかなりの精度で翻訳可能になったとする。

日本語で話したら、その場で英語に直して発話してくれる。あるいは、英語の文章を正確な日本語に直してくれる。そのような時代になったら、英語を学ぶ必要はないと思う人もいるかもしれない。

しかし、英語は常に変化している。日本語も同じことである。言葉は結局、1つの「コミュニティ」をつくっている。人間同士が言葉を交わしてこそ意味があるのであって、だからこそ、言葉は生きているのである。“

人工知能はビッグデータと呼ばれるデータベースを使います。翻訳の場合は対訳ファイルをどんどん増やしていきます。この蓄積型のデータベースは長年にかけ蓄積しますから、人工知能はそのような変化には非常に弱いのです。

人間が「AIに合わせる」ことを学ぶと言うのは暴言です。人工知能とは人間の脳のような物を作るのが目的です。人間の脳がやっている事を機械にやらせているのです。その脳の代わりになる機械を使うために、人間がAIに合わせるのはもう人工知能ではありません。

脳を使わないようにするのが人工知能を使う目的なのです。人間がAIに合わせるなら、最初から英語を学ぶ方が効果的です。

日本語のクセで、私が「私たちは」という主語を省いたためと言いますが、日本語のくせを学ぶのは英語と日本語を比較して学ぶ以外に方法はないと思います。

2018年7月14日 (土曜日)

まずは英語を習慣化させる

英語学習の過程にはさまざまなハードルが待ち受けています。私も英語学習を続ける途中で様々な壁にぶつかりましたが、最もきつかったのは、一番最初のハードルでした。

一番最初のハードルとは、「英語学習を習慣化する」というハードルです。このハードルを越えることができれば、その後に待ち構えるTOEIC700の壁、800の壁、900の壁、実際の英会話の壁などは取るに足らないものです。

今回は、最初のハードルである英語学習を続けるための8つの習慣を紹介します。

その1 教材を常に持ち歩く

英語学習を決意した人にまず行なってほしいのは、携帯オーディオに英語教材を録音することです。ICレコーダー、MP3プレーヤーなど、携帯オーディオには様々なものがあります。自由にフレーズごとに区切ることができるICレコーダーがお勧めですが、自分が気に入って使っているものでもよいでしょう。携帯オーディオを常に持ち歩き、少しでも時間があったら英語を聴きましょう。電車やバスに乗っている時、順番を待っている時、歩いている時など、細切れ時間は結構たくさんあるものです。細切れ時間を有効活用すると一日にリスニングできる量は驚くほど多いものになります。

その2 朝勉強する

一日が始まったら、できるだけ早いうちに、できれば朝一番に、英語学習をやってしまいましょう。

一日のうちには様々な予想外なことが起きます。急に飲みに誘われたり、予想外に仕事が忙しくなったり、その他急用ができたりします。夜に英語学習をしようと計画をたてていたとしても、このような予想外なイベントが起きた場合に一気に計画が狂ってしまいます。「今日こそは本当に勉強しようと思っていたんだけど、急用ができてできなかった。」ということになってしまいます。

朝起きた直後は、予想外の出来事が起きる可能性は低いですが、これが、昼、午後、夕方、夜、となるにつれて、あなたの時間を奪う予想外のイベントが発生する可能性が高まるのです。

「予想外のイベントが起きるものだ」と想定しておき、朝一番にあなたにとって一番重要な事を終わらせてしまいましょう。

朝の何時に、何処で、何を勉強するかを決めてしまい、毎日そのルーチンを守りましょう。そうすれば、何も考えることなく毎日規則正しく学習を継続することができます。

その3 記録する

学習記録をつけましょう。学習したテキスト名、何ページから何ページまで学習したか、勉強した時間を書きましょう。

どのような形式で記録を付けるかは自由です。自分の好きなように記録していきましょう。

不思議なことに、ただ記録するだけで、勉強に対するモチベーションが上がります。勉強する気になれない時も、この記録ノートを見るだけで、やる気が復活します。

私は、MBAを受験することが決まってから、毎日学習記録をつけました。TOEFLやGMAT、エッセイ書きの記録を毎日つけていきました。志望校から合格通知を受け取るまで、毎日記録しました。今ではこの記録ノートは大切な記念品です。

その4 誰かと一緒に学習する

一人で学習するよりも、誰かと一緒に協力したり、競争したりしながら学習するほうが、学習を続けることができます。身近の知人・友人の中に英語学習をしている人がいないか探してみましょう。ネット上で英語学習者を探すこともできます。ツイッターでは#twinglishというハッシュ・タグを付けて英語でつぶやいている人がたくさんいます。これは、「Twitter で英語をつぶやいてみる」の著者である石原真弓氏の呼びかけによって始まったものです。たくさんの人が英語を学習しているのを見ると、英語学習の意欲を持ち続けることができます。

その5 やる気になる文章、ポスターなどを毎日見る

「英語を勉強しよう!」と一度でも思ったのであれば、何かきっかけがあったはずです。英語を使って活躍している人にあこがれているのなら、その写真や、その人の言葉を部屋の壁に貼ったり、手帳に貼ったりして、毎日見ましょう。
手前味噌になりますが、私のブログの記事「英語留学格闘記」は、「読むと英語学習のやる気がでる」と評判です(毎日読むには長すぎですが)。

その6 それでも続けられない場合は、学習の障害を物理的に排除する

英語学習をどうしても続けられない時があります。そのような時は、何かがあなたの学習を邪魔しているのです。その邪魔を取り除きましょう。

携帯オーディオで英語教材をリスニングしようとしても、つい音楽の方を聴いてしまう、という人は携帯オーディオから英語教材以外のファイルを消しましょう。

なんとなくテレビを見てしまう、という人はテレビを捨てるか片付けてしまいましょう。

このようにして、英語学習の障害となっているものを物理的に排除してしまいましょう。

その7 1週間だけ英語漬けになってみる

「これから毎日、何年間も英語を勉強しないといけない」と考えるから、長続きしないのかもしれません。遠い将来までずっと続けないといけないと考えてしまうと気が遠くなってしまい、「無理だ・・・」と挫折してしまうのです。そのような人は「とりあえず一週間だけ英語漬けになってみよう。その後は英語学習をやめたくなったらやめよう」と考えて見ましょう。そして一週間だけ頑張ってみましょう。

そして一週間勉強してみると、いつの間にか勉強が習慣化されて、英語学習が苦にならなくなります。仮に一週間後にやめたくなったら、やめてしまってもかまいません。しばらくしてまた英語学習の意欲が復活したら、また一週間だけ頑張ってみましょう。これを繰り返していれば、英語学習が習慣化される日がいつか来るでしょう。

その8 英語学習が続かなかったとしても自分を責めない

上の7つの習慣を試しても、英語学習が続かないかもしれません。そんな時は自分の怠惰を責めてしまいがちですが、自分を責める必要はありません。

私の場合は、大学時代の4年間と社会人になってから最初の2年間、なんと合計6年間も、英語学習を始めてはやめ、初めてはやめ、を繰り返していました。そして社会人3年目に同期入社の友人が海外勤務になったのをきっかけに、猛烈に英語学習を続けました。今思えば、英語学習を挫折し続けた6年間は、その後猛烈に学習するための準備期間だったのかもしれません。

英語学習を決意して、しばらく頑張った自分をほめましょう。そして、「また次頑張ろう」と前向きにとらえて、再び英語学習に対する意欲が復活するのを待ちましょう。

以上が私の実体験を基にした、「英語学習を続けるための8つの習慣」です。皆様の英語の勉強の仕方の参考になりましたら幸いです。

大きな間違い
言語習得は習慣化して覚えるのではありません。興味があるから、繰り返しをして忘れないように覚えるのです。単に習慣化して覚えるのではありません。ネイティブを真似て繰り返すのです。

学習の最初は脳が短期記憶に保存しており、重要と思われる事を長期記憶に忘れないように記憶します。習慣化した事は重要だと言う判断になりませんから長期記憶に保存され難いのです。

英語の学習でネイティブを真似るとフィードバックを得る事ができます。フィードバックと矯正と修正ができます。

習慣化するとこのフィードバックで矯正や修正ができません。効果的な学習ができないのです。学習とかスポーツの練習は習慣的なものでは効果が上がりません。

大事な事は意識を持った学習です。英語であれば、ネイティブを真似て、発音を良くするとか、表現を覚えるとか、使い方を覚えるとかの、学習に関して意識をする事が大事です。

このような意識を持った学習により、フィードバックで評価できます。ネガティブのフィードバックなら次の学習で矯正できます。

ポジティブなフィードバックですと報酬系が満たされます。するとドーパミン等が放出され、学習意欲が高まります。

特別な意識のない習慣化ではこの報酬系が満たされる事が少ないのです。脳は習慣化したから覚えるような仕組みではありません。

逆にもっと意識を持った学習の方がずっと効果的な学習が可能です。そして学習者自身も満足感を得る事ができます。

2018年7月11日 (水曜日)

2020年に「英語革命」が起きる

言語社会学者の寺沢拓敬氏が安河内哲也氏の本に関するコメントしております。

新刊安河内哲也著“全解説 英語革命 2020”(文藝春秋社)を読んだ。
内容は、書名が示すとおり、2020年に英語革命なるものが起きるという話である。もう少し具体的に言うと、2020年度入試から大学入試の英語が変わるので、それをきっかけに日本の英語教育が大幅に改善するという話である。「2020年、スーパー翻訳機が発明されて英語があらゆる言語に翻訳されるようになる」とか「英語の3単現の-s はマジで面倒くさいので省略してもOKになる」とかそういう革命ではない。

なぜ英語教育が良くなる?
「入試制度改革→英語教育改善」という理屈が、一般の人にはわかりづらいと思うので、安河内氏の著書に基づいて読み解いてみる。以下、便宜的に番号をつけた。

1. 【現状認識a】現在、多くの大学で、英語の入試は「読む」技能しか測っていない。
2. 【現状認識b】また、現行のセンター試験も、「聴く」の試験はあるものの、「話す」「書く」はないのは同様である。
3. 【現状認識c】読む・聴くという2つの技能しか測定しないと、高校教育現場で「話す」「書く」の練習をしなくなる。弊害が大きい。
4. 【主張】大学入試で、書く・話すの能力も測定すべきだ。
5. 【解決策】解決策として、「書く」「話す」の試験を既に実施している民間業者の試験を、センター試験に置き換えることを提案する。
6. すると、英語教育に革命が起きる!
革命をうたうわりに、1-3番の現状認識も4番の主張もいたって凡庸である。大学入試に多少なりとも馴染みがある人であれば、一度は聞いたことのある話だろう。

その意味で、真に革命的なのは5番の解決策の提案だろう。しかし、ここの理屈は、なんとなくわかるようでわからない。「書く」「話す」の民間試験を利用すると英語教育に革命が訪れるというのはつまり、「民間試験導入 → 革命」という話だが、ここの矢印の部分の細かいメカニズムがよくわからない。一体、どういうことなのか。

波及効果 がキーワード
実は、このメカニズムについて安河内氏は驚くほど何も述べていない。唯一、メカニズムらしいことに言及しているのは、氏が「波及効果」に触れている部分である。

波及効果は、「ウォッシュバックエフェクト (washback effect)」とも呼ばれ、テスト研究でしばしば使われる専門用語である。

ただ、専門用語と言っても、実はたいして難しい話ではない。テストが受験者や教育現場、あるいは社会全体にもたらす様々な影響のことである。

そもそもテストの第一義的な目的は受験者の能力を測定することである。したがって、そのテストを媒介にして他者に影響力を及ぼすことは本来の目的ではない。ただし、テストは真空の中で実施されるわけではないので、否が応でも何らかの社会的影響を引き起こしてしまう。

影響が出てしまうのは仕方ない、であれば、逆に積極的に認めていくべきだ、いっそネガティブな影響を抑え、ポジティブな影響を伸ばすように工夫していきましょう。要するにこういう考え方である。

安河内氏はこの波及効果(ウォッシュバック)がお気に入りらしく、本書で何度も使っている(少なくとも6回、それぞれ異なる節)。

ただ、波及効果とは何かまったく説明していないので「魔法の呪文」の感はある。しかも、具体的にどのような道筋で波及していくのかまったく説明していない。まさか「センター入試を民間試験に置き換えたら、英語ができる日本人がみるみる増えだす!」などという摩訶不思議な幻想を抱いているわけではないだろうが、そう思われても仕方ないくらい短絡的に見える書き方はしている。

英語革命
というわけで、安河内氏(および民間試験導入推進派)が想定しているであろう波及の道筋について、余計なお世話感が満載だが私が図解してみたいと思う。
以下がその図である。

まず、右端の目的から。「四技能入試・外部試験導入」推進派の究極的な目的が、日本の英語教育の改善であることは疑いない。少なくとも建て前のレベルでは。もっと直接的に表現すれば、英語ができる日本人の増加である(その意味でナショナリスティックな議論である)。つまり、推進側には「外部試験導入 → 英語ができる日本人増加」という因果モデルがある。実際、安河内氏の本でも、テストに関するミクロの話だけでなく、日本の英語教育のより良い未来といったマクロの話が何度も論じられている。

図が示しているのは、外部試験導入と英語教育改善の間には非常に多くの因果連鎖があること、そして、各因果関係の妥当性は必ずしも自明ではないことである。
たとえば、X社の民間試験の採用が、高校教員(特に受験指導にあたる教員)の四技能指導の増加につながるかについては、何らエビデンスがない。

この「机上の論理」にもっともらしさを感じる人もいるかもしれないが、現実には、政策に意図せざる結果はつきものである。政策をとりまく種々の要因によって、期待された効果が発揮されないケースや、深刻な副作用が生じてしまうケースは枚挙にいとまがない。

これは社会科学において常識の部類である。一例としては、ハブ駆除の「救世主」として移植されたマングースとか、お迎え時刻に遅れてくる保護者に頭を悩ませた保育園が「切り札」として導入した遅刻罰金制度とか。

英語入試改革で、「意図せざる結果」を引き起こす要因はなんだろうか。すぐ思いつくのは、日本の学校の巨大なクラスサイズ(生徒人数)である。「話す」がきめ細かく指導できるのはクラスサイズがある程度抑えられている場合である。

生徒数が多くなった場合、試験されるとわかっていても、話す能力を伸ばして試験に備えるというよりは、試験に出題されることをひたすら覚えさせるという形式になるかもしれない(実際、韓国の英語予備校では、数百人の受講生を前に講師が模範解答の暗記・再生を要求する「TOEICスピーキング」対策講座が行われている)。もっともこの可能性も机上の論理である。

そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。結局、現時点では何もデータがないのだ。本来データを出すべきなのは改革推進派だが、誰もデータを示さずに机上の論理で改革を進めている。

また、波及効果の論理は、受験指導を担当しない教員にも四技能指導が「伝播」することを暗に想定している。その結果、日本の英語教育全体の改善がもたらされるという主張であり、いわば「四技能指導のトリクルダウン」である。しかしながら、介在する因果連鎖があまりにも多く、「風が吹けば桶屋が儲かる」といった机上の空論という印象が強い。

たしかに、安河内氏をはじめとした外部試験導入推進論者は、「波及効果」のようなテスト研究の用語を使っており、一見、学術的な議論に思われるかもしれない。しかし、政策の道筋を考えた場合、きわめて粗い議論であり、学術的な根拠はないに等しい。

杜撰な「革命」
かなり杜撰な理屈で革命を予言していることがよくわかったと思う。ただ、まあ、この意味では革命らしいと言えなくもない。これまでの多くの革命(革命未遂を含む)は、合理的計算のうえで用意周到に始められたわけではないわけで。

個人的には、スピード感が大事などと言って杜撰な「革命」をはじめて、その結果甚大な災厄を被る「革命主義」は勘弁してほしい。じっくりと議論を重ねて今ある制度を徐々に良いものに代えていく「改良主義」のほうがずっとマシに思える。

大きな間違い
入試制度改革により、英語教育改善がされると言うのは非常に根拠が薄い。英語を学んでいる人が必ずしも入試試験を受ける訳ではありません。社会人でも必ずしも英語試験を受ける訳ではありません。

まず、そのような入試試験を受けない学習者とはまったく関係の無いものであります。

仮に入試試験を受けるとしても、今の学習方法が劇的に変わる事ではありません。勉強の比重が多少変わるくらいでしょう。

このような一部の人の、わずかな変化を革命と呼ぶのは誇大表現です。

私が英会話革命と呼んでいるのは、文法を学ぶ用法基盤から、多くの事例を学ぶ事例基盤へのパラダイムシフトを提唱しているからです。英語学習の基本がルールを学ぶ事から、事例を学ぶ事に変わるのですから、これが実現すれば革命と呼べると思います。

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